会社に戻って、俺はインターネットで“№5”と“じょろうぐも”のワードを調べてみた。
№5はCHANELの香水で、(香りって言ったし、きっとこれに間違いないだろう)故マリリン・モンローが愛用していた香水だとか。
一方の“じょろうぐも”だが、変換すると“女郎蜘蛛”
美しい女に化けることが出来る蜘蛛の妖怪で(もちろん架空)、男を食い物にしている、らしい化け物。
この№5と妖怪に何の繋がりがあるのか謎だったが、周は深刻そうだった。
俺はふっと喫茶店で見た、あの謎の美女を思い出した。
美しい女……かぁ…
あの浮世離れした美しさが、一種妖しげな雰囲気に見えたのだろう。
周に影響されてるのかな。俺まで変になりそうだ。
慌てて顔を振ると、俺は仕事に向き直った。
――――
――
定時の6時を過ぎて、30分だけ残業すると俺はいつもより早く仕事を切り上げて会社を出た。
別に周を待たせてるからとかじゃないぞ?
疲れてたからだ…(たぶん…)
それでもいつもよりうきうきした気持ちでエレベーターに乗り込むと、
「よっ♪お疲れ~」
とエレベーターの中でにっこり笑顔の周。
な、何故居る―――!って、最早突っ込む俺が間違ってる。
「お前が遅いから寂しくて上がってきちまった。さ、帰るぞ、愛の巣へ♪」
なんて抱きついてきた。
俺のウキウキドキドキ気分は、こいつの前では塵も同然。
強引にハグしてきては濃厚なキスをしてくる周を引き剥がすのが、
実は一番体力の要ることだった。



