- π PI Ⅱ -【BL】



それでも周はちゃっかり俺の隣に腰を降ろし、優雅にコーヒーなんかも飲んでる。


ってか…


周りに居た女たちのほとんどがこっち見てる気がするんですけど。


……まぁ周は黙ってりゃ相当イケメンで…男の俺から見ても思わず見惚れちまうルックスしてるしなぁ。


「何だヒロ。そんなにじっと見つめてキスして欲しいのか?」


……黙ってりゃ…な。


「誰が!」と勢い込んだとき、オープンカフェから風が吹きぬけた。


ふわりと髪をなびかせて、俺は思わず目を細めた。


「む!“№5”の香り!!女郎蜘蛛の匂いがする!」


なんて周は突如眉間に皺を寄せ、素早く辺りを見渡した。


№5?じょろーぐも??


「……何の暗号だよ」


「…居ない…。でもあの蜘蛛女の匂いに間違いない…。俺としたことが…可愛いヒロに見惚れて、あの女が居たことに気付かなかったぜ」


最早解読不可能…


こいつって大抵意味不明だけど、今はそれに輪をかけてひどい。


ってか「可愛い」言うな!


「すまんヒロ。俺は急用ができた。帰りは迎えにくるから待ってろ」


なんて勝手に言ってさっさと立ち上がってるし…


は!?急用って何??その№5とじょろーぐもに関係してるの??


って言うか、迎えに来るの!?


「じゃな。愛してるぜハニー♪」


しかもしっかりとウィンクまで寄越してくるし。


俺…なんでこんな変態で意味不明野郎を好きになっちまったんだろう…