それでも周はちゃっかり俺の隣に腰を降ろし、優雅にコーヒーなんかも飲んでる。
ってか…
周りに居た女たちのほとんどがこっち見てる気がするんですけど。
……まぁ周は黙ってりゃ相当イケメンで…男の俺から見ても思わず見惚れちまうルックスしてるしなぁ。
「何だヒロ。そんなにじっと見つめてキスして欲しいのか?」
……黙ってりゃ…な。
「誰が!」と勢い込んだとき、オープンカフェから風が吹きぬけた。
ふわりと髪をなびかせて、俺は思わず目を細めた。
「む!“№5”の香り!!女郎蜘蛛の匂いがする!」
なんて周は突如眉間に皺を寄せ、素早く辺りを見渡した。
№5?じょろーぐも??
「……何の暗号だよ」
「…居ない…。でもあの蜘蛛女の匂いに間違いない…。俺としたことが…可愛いヒロに見惚れて、あの女が居たことに気付かなかったぜ」
最早解読不可能…
こいつって大抵意味不明だけど、今はそれに輪をかけてひどい。
ってか「可愛い」言うな!
「すまんヒロ。俺は急用ができた。帰りは迎えにくるから待ってろ」
なんて勝手に言ってさっさと立ち上がってるし…
は!?急用って何??その№5とじょろーぐもに関係してるの??
って言うか、迎えに来るの!?
「じゃな。愛してるぜハニー♪」
しかもしっかりとウィンクまで寄越してくるし。
俺…なんでこんな変態で意味不明野郎を好きになっちまったんだろう…



