桐ヶ谷は―――女っぽい顔立ちをしているのに、中身は本当に男。
分かってたことなのに、時々こっちがびっくりするぐらい怖くなる。
ギムレットのグラスがカウンターに置かれて、だけど俺はそのグラスに手を付けることはしなかった。
「……興味本位ってのもあるけど…俺だって男だし……
―――……分かるだろ?」
これ以上言わせないでくれ。
俺は苛々と前髪を掻き揚げた。
「―――…つまりお前は、俺とヤリたいわけ?」
ど直球に聞かれて、俺の方が面食らった。
慌てて回りに視線をやると、幸いにもこの話題を誰も聞いている様子はなかった。
ほっと安心して胸を宥めると、
「……あのなぁ」
俺は呆れたようにため息を吐いて、ようやくギムレットに手を伸ばした。
乱暴に取り上げたから、グラスすれすれに入っていた液体が零れる。
「答えろよ。ヤりたいわけ?」
冷たい液体が指にかかり、その不快な感触にか―――それとも桐ヶ谷の言葉にイラついたのか、得体の知れない気持ちの悪い思いを抱いた。
「当たり前だろ?」
やけくそにそう言うと、桐ヶ谷は怒り出すかと思いきや―――…
ちょっと穏やかな微笑みを浮かべていた。



