- π PI Ⅱ -【BL】



俺はワインよりも普通のカクテルの方がいいな。


バーテンにギムレットを頼んで、その間桐ヶ谷のワインを少しもらった。


間接キス??なんてドキドキしたけど、一口、口に含んで…


……シブ…


…う゛~ん、やっぱ俺にワインの良さは分からん。


だけど桐ヶ谷は


「これも旨いけどもっとパンチの効いたフルボディがいいな。次は違うのにしよ~」なんて言ってメニュー表をパラパラ。


可愛い顔して好みはかなり渋い……


俺はギムレットのジン程度がちょうどいいかな?


バーカウンターの向こう側でバーテンがシェイカーを振る音が心地良いい。


その音に紛れさせて、俺はこそっと気になっていたことを聞いてみた。


「なぁ桐ヶ谷…今日はゆっくり眠れるって…その…」


言いづらそうに言葉を濁すと、


「うん♪広いベッドもふわふわの布団も枕も独り占めだ。夢も見ずに朝までぐっすりだぜ」


なんて桐ヶ谷は答える。


いや…俺が聞きたいのはそーゆうことじゃなくて、でも“独り占め”とか考えが子供みたいで可愛いな♪


「そうゆう意味じゃなくて、アイツとはどーなんてんの?その…夫婦の…営み…とか…」


俺が聞くと桐ヶ谷はようやく俺が何を言いたいのか気付いて、グラスを持ったままピキッと固まる。


「聞くな!」


真剣に言われて、俺が思わずたじろぐ。


だけどすぐに桐ヶ谷が考え直したようにグラスを傾けて、


「別にフツー」と呟いた。


「普通?」


聞き返すと、桐ヶ谷はワインをぐいと煽り、俺を真剣な目で見据えてきた。


びっくりするぐらいその視線は真剣で―――同時に冷め切っていた。





「お前さ、単なる興味本位で聞いてる?それだったら勘弁して」