昼休みも残り10分……
今日も桐ヶ谷と過ごす短い時間が終わってしまう。
『今日の血液型占い。第一位はO型のあなた♪好きな人と急接近できそうです☆』
テレビの占いを思い出して…
急接近…なんてしてないし。
『星座占いランキング一位はぁ??乙女座のあなた~☆今日は嬉しいラブハプニングが!相手をぐっと近くで感じることができるよ★』
ラブハプニングなんて起こってないし。てかこれから起きるのか??
ま、占いなんてあてにならないか…
どーしたんだよ!達矢!!お前らしくないっ!お前は女子高生かっ!!
なんて自分で自分に突っ込みを入れるも、
桐ヶ谷の顔を見るとキュ~ンと女子高生みたいにドキドキする。
急接近、ラブハプニング上等!
ないなら作るまでだ!!
「き、桐ヶ谷っ!」
俺は思い切って桐ヶ谷に声を掛けた。
桐ヶ谷は俺の勢いにちょっと驚いたように目を開いて、それでも
「どうしたんだよ」と苦笑い。
「あのさっ!!今日暇??ワインが旨いっていう店聞いたんだ。や!変な意味じゃなくて、妙な下心があるわけじゃなくて!」
早口にまくしたてたけど、
「いいよ。ちょうど周が急に仕事で泊り込みになっちゃってさぁ、晩めしどうしようか悩んでたところだから♪」
え…アイツ帰ってこないの…?
「その割りにはお前嬉しそうじゃね?」
もしかして俺が誘ったことがそんなに嬉しい??だったら俺もすっげぇ嬉しいケド!
「当たり前だろ?今日だけは一人でゆっくり眠れる!!ビバ☆ヒトリノ夜♪」
桐ヶ谷はガッツポーズを作ると、ポルノグラフィティの歌を口ずさんだ。
ああ…俺との飲みを楽しみにしてるわけじゃなくて、
ゆっくり眠れること―――ね…



