- π PI Ⅱ -【BL】



昼休みも残り10分……


今日も桐ヶ谷と過ごす短い時間が終わってしまう。


『今日の血液型占い。第一位はO型のあなた♪好きな人と急接近できそうです☆』


テレビの占いを思い出して…


急接近…なんてしてないし。


『星座占いランキング一位はぁ??乙女座のあなた~☆今日は嬉しいラブハプニングが!相手をぐっと近くで感じることができるよ★』


ラブハプニングなんて起こってないし。てかこれから起きるのか??


ま、占いなんてあてにならないか…


どーしたんだよ!達矢!!お前らしくないっ!お前は女子高生かっ!!


なんて自分で自分に突っ込みを入れるも、


桐ヶ谷の顔を見るとキュ~ンと女子高生みたいにドキドキする。


急接近、ラブハプニング上等!


ないなら作るまでだ!!


「き、桐ヶ谷っ!」


俺は思い切って桐ヶ谷に声を掛けた。


桐ヶ谷は俺の勢いにちょっと驚いたように目を開いて、それでも


「どうしたんだよ」と苦笑い。


「あのさっ!!今日暇??ワインが旨いっていう店聞いたんだ。や!変な意味じゃなくて、妙な下心があるわけじゃなくて!」


早口にまくしたてたけど、


「いいよ。ちょうど周が急に仕事で泊り込みになっちゃってさぁ、晩めしどうしようか悩んでたところだから♪」


え…アイツ帰ってこないの…?


「その割りにはお前嬉しそうじゃね?」


もしかして俺が誘ったことがそんなに嬉しい??だったら俺もすっげぇ嬉しいケド!


「当たり前だろ?今日だけは一人でゆっくり眠れる!!ビバ☆ヒトリノ夜♪」


桐ヶ谷はガッツポーズを作ると、ポルノグラフィティの歌を口ずさんだ。


ああ…俺との飲みを楽しみにしてるわけじゃなくて、


ゆっくり眠れること―――ね…