- π PI Ⅱ -【BL】



「いいオトコこそ早く結婚しちゃうものね~」なんて言いながら、一人の女の子が俺の隣に腰掛けてくる。


「三好さんは?結婚する予定はないの?」


「俺?俺は当分ないかな…相手もいないし」


人妻(?)に熱烈!片思い中だ。なんて言えない…


「そうなの??じゃ、あたし立候補してもいい?」女の子が目を輝かせる。


「え、立候補?」


「うん♪早速今日飲みにでも行かない??二人で」


二人で……


俺はその子をまじまじと見つめた。


可愛い子だった。ついでに元気で明るそうなところが俺のタイプでもある。


でも…


「わり。今日先約があるんだワ」


「え~~~」


と女の子は不服そうに唇を尖らせて、それでもとりあえずは諦めて帰っていった。


ちなみに先約などない。


再三言うが、可愛い子だった。俺のタイプでもあった。


しかも相手は、女!だ。


それなのに―――


「電話してきた~」とにこにこ、白い歯を見せて笑う桐ヶ谷を見て、


ドキリ!まるで心臓がひっくり返るぐらい、俺の心をこいつは鷲づかみにする。


だって何かすっげぇ笑顔が眩しいんだもん!