- π PI Ⅱ -【BL】



周―――……


いつの間に…


びっくりして顔を上げると、周はにっこり笑って俺の左手を取った。




「結婚指輪がまだだったろ?これは俺からのプレゼントだ。


このマークが意味するように俺たちに終わりはない」




そう言いながら、俺の薬指にリングをはめる。


リングはサイズがぴったりで、俺の指を難なく滑った。


「……いつの間にこんなの用意してたの…」


目をまばたいて、俺はリングと周を交互に見つめた。


「少し前だ。お前と喧嘩する前ぐらいかな。渡したいと思ってたけど、なかなかタイミングが掴めなくてね」


タイミング…


はっ…と俺は短く笑った。


「全くお前ってヤツは……」


語尾が震えた。


俺はこうゆうのにこだわらないたちだから、今まで付き合ってた女の子にせがまれて買ったぐらいだ。


だけど今、はじめて女の子の気持ちが理解できた。


リングってこんなにも嬉しいものなんだな。


しかも結婚指輪って…


嬉しすぎて―――……涙が出てくる。


「…まったく、お前ってヤツはどこまでかっこいいヤツなんだよ…」


涙を浮かべて笑いながら、俺は周りを憚らずに周に抱きついた。


今度は周がびっくりする番だった。


戸惑ったように俺の肩に手を回してくる。