一歩踏み出すと、周も同じように足を出し、また一歩前に進むと周も同じ動きをする。
微笑んで進むと、やがて周が目の前に現れた。
周も笑みを浮かべて、俺を見ろすと、
「ここでクエスチョン。この水槽は半径70cmだ。円の面積を求めよ。答えられなかったら今夜お仕置きだぞ?♪」
なんてまたもどこからか取り出した“円周率の求め方”を開いている。
「はぁ?」俺が顔を歪めると、
「5秒やる。5、4…」
「ぅお!ちょっと待て!!」
円の面積の求め方は、半径X半径X円周率(3.14)だから…
「…2、1!ブー」
周は楽しそうににやりと笑って、俺の両耳に手を伸ばしてきた。
「早すぎるよっ!」と抗議するも、周は聞き入れてくれない。
俺の耳裏をくすぐるように指を動かして、口角を上げて色っぽく笑う。
そして―――
「答えはインフィニティー(無限大)だ」
と言って両手を俺の前に掲げた。
その両手の指先にあるのは二つの―――
プラチナ素材の―――リング
それをくっつけると、∞(インフィニティ)のマークになった。



