俺がどうして刹那さんを一匹狼だと思ったのか、何で彼女の指先があんなに冷たく感じたのか…
それは彼女が纏う計り知れない“孤独”と言うオーラを感じ取っていたからだ。
この人は印象深い人だけど、決して他人の心深くに残ろうとする人じゃない。
いつだって簡単に自分の存在を消そうとする人だ。
「あらやだ。後方5時の方に敵を発見。行かなきゃだわ」
俺は振り返ろうとしてやめた。周の香りが近づいてきて、振り返らずともあいつが近くに居ることが分かったからだ。
俺が刹那さんの手首を掴むと、風でなびく黒と銀の髪の間で、刹那さんの驚いた顔がちらりと見えた。
「そうやって、簡単に消えようとしないでください」
刹那さんは目を開いてまばたきをしたけれど、やがて小さくふっと微笑んだ。
「あたしは周と従姉弟だと言ったけれど、あれ嘘よ。
あたしが周に似てるって言ったわよね?」
え…?嘘―――??
「夫婦ってどこかしら似るって言うから、そのせいじゃないかしら?♪」
え………?
それはその…つまり……
「時間にして14時間45分、18秒。あいつとは超スピード離婚だったけどね♪」
え、えぇーーーー!!?



