- π PI Ⅱ -【BL】



俺がどうして刹那さんを一匹狼だと思ったのか、何で彼女の指先があんなに冷たく感じたのか…


それは彼女が纏う計り知れない“孤独”と言うオーラを感じ取っていたからだ。


この人は印象深い人だけど、決して他人の心深くに残ろうとする人じゃない。


いつだって簡単に自分の存在を消そうとする人だ。


「あらやだ。後方5時の方に敵を発見。行かなきゃだわ」


俺は振り返ろうとしてやめた。周の香りが近づいてきて、振り返らずともあいつが近くに居ることが分かったからだ。


俺が刹那さんの手首を掴むと、風でなびく黒と銀の髪の間で、刹那さんの驚いた顔がちらりと見えた。


「そうやって、簡単に消えようとしないでください」


刹那さんは目を開いてまばたきをしたけれど、やがて小さくふっと微笑んだ。




「あたしは周と従姉弟だと言ったけれど、あれ嘘よ。


あたしが周に似てるって言ったわよね?」






え…?嘘―――??





「夫婦ってどこかしら似るって言うから、そのせいじゃないかしら?♪」




え………?


それはその…つまり……





「時間にして14時間45分、18秒。あいつとは超スピード離婚だったけどね♪」





え、えぇーーーー!!?