「はあ。それで?」
どんな設定だよ。俺はいつまで刹那さんのバカ話に付き合えばいいわけ??
「脳内に埋め込まれたチップは心臓をはじめとするすべての臓器、血液、細胞をすべてコントロールしてる。
プログラミングされた細胞は成長することないし、老化もしない。だからあたしは永遠に歳をとらない。細胞は生き続けるわけだから、死ぬこともない。
脳内に埋め込まれたチップを破壊しない限りね。
そしてすべてにおいて完璧に計算されたプログラムで、IQは200以上。身体能力も異常に高い」
淡々と言いながら刹那さんは遠くを見据えている。
「刹那さん、想像力豊かですね。小説家めざした方がいいんじゃないです?それかSF映画監督??どっちでもいいや。
よく考えましたね。そんな作り話」
人魚の肉食ったって方がよっぽど信憑性があるぜ。
俺はぎゅっと人魚ヒロジを握ると、中に入っているワタがきゅっとないた。
呆れて長々とため息を吐くと、刹那さんはにっこり微笑む。
「いいわね、それ♪あたし映画作ろうかしら。主演はヒロで♪」
「勘弁して」
嘆くように言うと、刹那さんはまたもにっこり。
人をからかって何が楽しいんだか。
「あたしが何でこんなこと話したと思う?」
急に聞かれて、俺は目をまばたいた。だけどすぐに疑うような目つきで俺は刹那さんを睨んだ。
「単なる暇つぶしでしょ?」
「残念だけど、ハズレ~♪」刹那さんは楽しそうに笑って、前を向く。
「あなたはいつだってあたしを“№5”とも、“女郎蜘蛛”だとも呼ばなかった。
あたしを“刹那”って呼んでくれた。
それが理由かしら―――ね」



