- π PI Ⅱ -【BL】



「刹那さん結婚してたんですね。俺…知らなかった…」


何とか話題をそらすために言うと、


「12回…ううん、13回かしら?したわね」


13回も!?いやいやいや……結婚ってそう何回もするもんなの!?


俺がびっくりしていると、


「ヒロははじめて結婚した人に似てるの」と刹那さんはにっこり。


「ヒロみたいに平凡で真面目な人だったわ」


グサッ!


悪かったな!平凡って!!気にしてることさらりと言うなよ。


「ヒロみたいに華やかな顔立ちはしてなかったけど、冴えなくてどこにでも居るサラリーマンだったけど、一生懸命で―――優しかった…」


刹那さんは俺の頬から手を離すと、またポケットに手を突っ込んで遠くの方を眺めていた。


その視線が過去を懐かしむような、切ないような……複雑な色をしていた。


「あの人と居ると、楽しくて、安心できて、置かれている立場や運命をいっとき忘れることができた。


あたしはそんな人を求めていた。ヒロだったらあの人と同じ安らぎを手に入れられると思ったから」


「だけど俺はその人じゃない。その人の代わりになんてなれないし、なるつもりもない」


俺が言い切ると、刹那さんは悪意のない顔でにっこりと笑った。


「周が言ってたわ。きれいな顔してかなり毒舌だって。あたしの手には負えないだろうって。本当だったわね」


手に負えんって…


周―――そんなこと言ったのか(ちょっと怒)


「その人と離婚したのはやっぱり刹那さんの犯罪絡みですか?」


と気になったことを聞いてみた。


「まぁそれもあるけど。ずっと一緒には居られないある事情があってね」


「一緒に居られない事情?」





「そ。あたし―――歳を取らないのよ」