- π PI Ⅱ -【BL】



ちょっと変わった小粋な髪形はいつもどおりだったけれど、何ていうか今日は雰囲気が違う……


ちょっと考えて、やっと思いついた。


いつもデキる女っぽいスーツみたいな格好だったけれど、今日はカジュアルって言うかクール??


黒い革のジャケットにジーンズ、黒いブーツと言う姿だ。


「相変わらず神出鬼没ですね。今日はどうしたんですか?」


そう聞くと、刹那さんは目を細めて口元に淡い笑みを浮かべた。


「ヒロの顔がどーしても見たくなったのよ」


刹那さんは色っぽく微笑んで、ジャケットのポケットに両手を突っ込む。


そしてちょっと振り返ると、俺の口元にそっと指を這わせた。


ひやりと冷たい指先に、まるで人間のものではないような奇妙な感触を覚えた。


目をまばたいて刹那さんを凝視すると、


「傷、大丈夫?」と心配そうに聞いてきた。


陣内に殴られたときの傷痕をそっと撫でられ、俺は目を細めた。


「ええ、まぁ。消毒したし、こんなのすぐ治りますよ」


「そ。良かった」短く言って刹那さんはにっこりと笑顔を浮かべる。


「昨日、あのあとどこへ行っちゃったんですか?周は気にしてないみたいだったけど」


あのあと良く考えたら、刹那さんは指名手配犯だけど、この人は捕まるのが趣味みたいな変態だから、あの場に居たら刹那さんの喜ぶような事態になったんじゃないの?


そんな俺の考えを読んでか、刹那さんは意味ありげにふっと笑った。


「仲間が近くに居たから、あたしが捕まるわけにはいかないのよ。急だったからパソコンのデータもそのままだったし」


仲間……?


俺は目をまばたいた。


意外なことだった。刹那さんは、何ていうか一匹狼みたいな雰囲気のある人だったから。


「今回、陣内の事件解決に仲間を頼ったの。あんまり連絡取らないけど、緊急事態だったから」


俺を助けるために……?



でも―――