ちょっと変わった小粋な髪形はいつもどおりだったけれど、何ていうか今日は雰囲気が違う……
ちょっと考えて、やっと思いついた。
いつもデキる女っぽいスーツみたいな格好だったけれど、今日はカジュアルって言うかクール??
黒い革のジャケットにジーンズ、黒いブーツと言う姿だ。
「相変わらず神出鬼没ですね。今日はどうしたんですか?」
そう聞くと、刹那さんは目を細めて口元に淡い笑みを浮かべた。
「ヒロの顔がどーしても見たくなったのよ」
刹那さんは色っぽく微笑んで、ジャケットのポケットに両手を突っ込む。
そしてちょっと振り返ると、俺の口元にそっと指を這わせた。
ひやりと冷たい指先に、まるで人間のものではないような奇妙な感触を覚えた。
目をまばたいて刹那さんを凝視すると、
「傷、大丈夫?」と心配そうに聞いてきた。
陣内に殴られたときの傷痕をそっと撫でられ、俺は目を細めた。
「ええ、まぁ。消毒したし、こんなのすぐ治りますよ」
「そ。良かった」短く言って刹那さんはにっこりと笑顔を浮かべる。
「昨日、あのあとどこへ行っちゃったんですか?周は気にしてないみたいだったけど」
あのあと良く考えたら、刹那さんは指名手配犯だけど、この人は捕まるのが趣味みたいな変態だから、あの場に居たら刹那さんの喜ぶような事態になったんじゃないの?
そんな俺の考えを読んでか、刹那さんは意味ありげにふっと笑った。
「仲間が近くに居たから、あたしが捕まるわけにはいかないのよ。急だったからパソコンのデータもそのままだったし」
仲間……?
俺は目をまばたいた。
意外なことだった。刹那さんは、何ていうか一匹狼みたいな雰囲気のある人だったから。
「今回、陣内の事件解決に仲間を頼ったの。あんまり連絡取らないけど、緊急事態だったから」
俺を助けるために……?
でも―――



