わたしだけを見てほしいのに

悠斗くんが住むマンションは
駅から歩いて5分くらいの
ところだった

エレベーターを3階で降りて
302のドアの前で立ち止まる
『丸山』の表札

「ちょっと待ってて。」

悠斗くんが、家に入って
少し経ってから出てきた

手にはペットボトルの飲み物
家の鍵をかける

「行こう。」
「えっ?ここじゃないの?」
「ここが実家で、俺の部屋
5階なんだ。」

再びエレベーターに乗って
5階のボタンを押す