わたしだけを見てほしいのに

次の日、お昼過ぎに
私は家を出た

ママはお店の接客に夢中のようで
私は無言で裏にある玄関のドアを
そっと開けて家を出た

外は
思った以上に日差しが強かった
駅への坂道を下る
肩にかけたギターが
徐々にくい込んできたけど
気持ちが浮かれてしまって
ギターの重たさも何故か
心地いい事のように感じてしまう

駅のホームで電車を待った
少しだけ風が吹いている

夏休み前は ここで
電車を待ちながら
ほんの少しだけ会える
悠斗くんの事を思って
毎朝、嬉しくなってた

今は悠斗くんと
待ち合わせをしてる
嬉しくてドキドキしながら
電車に乗った