「でも、どうして、この石がわたしの手提げバッグに入っていたんですかね?まさか勝手に入っちゃったとか、そういうことはないですよね?」


 ミサキはアイに、恐る恐る問いかけた。

 「それは、何となくね、直感があったから、あなたの手提げバッグへそっとね、プレゼントのつもりで、入れさせてもらっちゃいました。驚かせてごめんなさいね!」


 アイは、30歳代とは思えない、少女のように悪戯っぽい笑顔で答えた。


 ミサキは今まで、あいさつ程度しか言葉を交わせなかったヒサトとの距離が、この一件で急に近づいこと。そして、あの日以来、バイトの休憩時間も、重なる事が増え…何より、先輩からドライブへ誘われた!と、アイに嬉しそうに話し、あの日のようにバイトへと向かった。


 今度バイト代が入ったら、ローズクォーツのお揃いのブレスレットを買いに来ると言い残して…