とは言ったものの、やっぱり着物姿で慣れない人の家の階段を上がるのは大変だった。


こっちゃんに言われた通り、落ちることのないように慎重に１段ずつ上がって行く。


ふぅー。


全段上って２階に到着したときには、後ろの様子なんて全然気にしていなかった。


「大丈夫？」


「わぁっ！！」


ビクッと身体を飛び上がらせて振り向くと、口元に人差し指を添えて『シー』っと言っている星くんが立っていた。


「驚かせてごめんね。稀那ちゃんに渡したいものがあってさ。」


そう言って私の横を通った星くんは奥の自室のドアを開けた。


漫画とかドラマでよく聞くけど、男の人の部屋には軽々しく入っちゃダメって言うじゃん。


でもこの場合、私と星くんが廊下で話したりしてるのを、かずちゃんとかこっちゃんに見られるのも良くないのかもしれないし。


そうこう悩んでるうちに星くんが部屋から１枚の封筒を持って出てきた。