お兄さんと【完】

通路の明かりはほとんどツリーの電飾で照らされている感じ。


上はガラス張りになっていて、出始めた星が小さく光っている。


その風景に見とれていると、突然視界が真っ暗になった。


「えっ?停電??」


「きなこちゃん。」


そう呼ばれても、さっきまで電飾の光を見ていた私の目には、お兄さんの姿は見えなかった。


「こっち向いてて。」


お兄さんの言葉と共に私の肩をつかまれて方向転換された。


もはや自分がどっち方向を向いて立っているのかさえよくわからない。