病み系男子



「――な・・・ん。・・・・きなさん・・・。―――凱那さん。」

「・・・・・ん・・・・?」



ゆるゆるとした柔らかな揺れに、うっすら目を開ける。



「んん・・・・・?」


「お、起きてください。凱那さんの家の前ですよ。」



家・・・・・・・?


ああ、そう言えば。


「・・・・・もう着いたの・・・。」

「は、はい。荷物はげ、玄関の方に置かせていただきました。」


「・・・・・ありがとー。」


瞼を擦り、腕をうんと伸ばす。


ようやく頭が覚醒してきて・・・・・・


「・・・・・・・ちょっと待って。」


「はい?」


「・・・・家、鍵開いてたの?」

・・・・・・まだ親は帰ってこない時間。
鍵はちゃんと閉めた筈・・・・・・・



「いえ、閉まってましたけど・・・・。」


「じゃあ何で・・・・。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ちら


「?」


希彩に視線を移すと、不思議そうに首をかしげる。


可愛いなムカツク。


・・・・・・・・・じゃ、なくて。


「・・・・・不法侵入?」


「ええっ!?ち、ち、違いますよ!ぼ、僕はホラ!ち、ちゃんと鍵で開けました!」


心外だとでも言わんばかりに、私の目の前に鍵を出した。


「・・・・・それ、私の?」



そう聞きながら、ポケットを触る。


・・・・・・・・・・・・鍵、あるんだけど。



「え?これは僕のですよ?凱那さんの家の鍵を、ちゃんと頼んで作ってもらったんです!―――痛いっ!」


思わず、手近な距離にあった希彩の腕を殴った。


「え、え?とと、と、凱那さん?いたっ!」


「変態変態変態――――――――――!!!!!!!!!!」