パァンッ・・・・!


「籠手ありっ!」


バッと白旗が上がる。

その瞬間ワアッと三人で立ち上がり拍手をした。


「やった!村島が二本勝ち!」


「次は坂上先輩です!」


「ファイトー!」


副将の坂上は一本勝ち、大将の山辺も一本を取られたが、取り返して一本勝ち。

男子は順調に勝ち進み、四回戦目に入った。


「・・・・これに勝ったら準決勝ですよ。」

李音の緊迫した声が聞こえる。


「これでやっと準決勝か~。遠いな~。」

そこに何とも暢気な私の声。

「・・・・あ。凱那、凱那。」

「んへ?」


由紀ちゃんが私の肩を叩き、プログラムを見せてきたので私も奇妙な声を上げて覗き込む。


「これ。ここ見て。」


由紀ちゃんの指が示す一ヶ所に目線をやると


「・・・・・・・・え、戸羽後?」

「うん、ここも勝ち進んでたみたい。次の相手、この戸羽後だよ。」


会場の方へ視線を移した。
もう審判を挟んで相手校と向かい合い、お辞儀をしている。


「李音、双眼鏡あったよね。ちょっと貸して。」


李音から双眼鏡を受け取り、試合の掲示板を見た。


「斑尾高校・・・対、・・・・戸羽後高校・・・・ホントだ!」



双眼鏡を下ろし、ため息をつく。


「未知数だから、なるべく当たりたくなかったんだけど・・・・。」


でも当たったものは仕方ない。


「ファイトー!!」


応援しなきゃ!