「あー緊張する~!今回は男子、決勝まで行けたら良いね。」
―――土曜日。
観覧席で手を合わせながら、下の会場で準備体操をしている男子を見る。
「李音、プログラム貸して。」
「はい、先輩。」
「ありがとー」と言い、後輩の李音からプログラムを受け取った。
「・・・・・一回戦は霞ヶ池か・・・。これは多分大丈夫・・・・あ、このブロック中々良いんじゃ・・・・・あれ?」
相手校の名前を見ていくと、一つだけ聞いたことのない名前を見つけて首を捻る。
「由紀ちゃん、この『戸羽後高校』・・・・って、何処?」
同級生である由紀ちゃんの肩を叩く。振り返った彼女にプログラムを渡した。
由紀ちゃんは、ああ、と小さく溢すと
「戸羽後高校・・・・。確か今回特別に、こっちの地区の大会に出ることになったって高校よ。」
「特別に?」
「うん。なんか此方、出場校に一つ空きがあったみたいで数を調節するために、この戸羽後高校が入ったんだって。」
「・・・・・・他方からか~。それじゃ、どれくらい強いのか分かんないじゃん。」
プログラムを閉じる。
「先輩、開会式始まるみたいですよ~。」