あれから完全下校時刻になると、希彩が校門の前で車を停めて待っているのが、慣れた光景になりつつあった。


――そんな、暫く経ったある日。



「・・・・・来週が、秋季大会・・・・。」


カレンダーを見ながら呟く。


来週の土日に、剣道の秋季大会が開かれるのだ。

土曜日は団体戦。(女子は人数が足りないから男子のみ。)

日曜日は個人戦だ。



「あ~緊張する~。」



―――――――――


「秋季大会・・・・ですか?」


すっかり暗くなった道で、私と希彩は並んで歩いていた。

隣では不思議そうに首を傾げる希彩。


「そ。来週の土日にあるの。土曜日は応援だけで、日曜日は個人戦だから出る。」


「・・・・・・・・。」


「・・・・・希彩は?来る?」


そう、希彩に質問を投げたつもりだったんだけど



「・・・・・・それって、他校からもたくさん来るんですよね?」



質問で返された。ってか聞いてない。


「そりゃ・・・・まあ一応全国大会の出場権を決めるためだし。この辺りなら全部の高校が出るかな。」


「・・・・・・・全部・・・・・」



え、何、何?


希彩は口に手を当て、何かを考え込むように黙ってしまった。


「・・・・どしたの?」

「・・・・・・・いえ・・・・・。あ、土曜日はすみませんが、仕事があっていけません。でも日曜日は必ず行けますから!凱那さんの美しい勇姿を、余すこと無く未来永劫保存します!」

「やっぱり来なくて良い。」

「な、何故ですかっ!?」




―――私はこの時希彩が考えていたことを、後から知ることになる。


・・・・・・知りたくなかったけど。