幸い親はまだ帰ってなかったから良かったものの、結局希彩に車で送ってもらった。

別れ際、緋美と二人なら車でも良いと許可した。

それなら拉致される心配はないし。


許可した時、希彩は嬉しそうに微笑んでいた。


私のストーカーなんてするだけあって、やっぱり彼は変な人だ。


「・・・・・・その変な人に、私も感化されてるのかな・・・。」



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今日も送ってくれてありがとう。
緋美と一緒に送ってもらっちゃってごめんなさい。

でも私だけの時は、本当に車はいいから。
まだちょっとあんたの事信用できないし。

おやすみなさい。

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「・・・・・毎晩ちゃんと返すようになっちゃったな・・・」





はあ、と溜め息をつきながら、携帯を持ったまま腕を投げ出す。


すると暫くして、手の中の携帯が震えた。



「・・・・希彩からだ。」



中を開く。


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勿体無いお言葉を、ありがとうございます。
僕がしたくて凱那さんを送らせて頂いてるので、何もお気になさらなくて良いですよ。

信じられないのなら、それでも構いません。
ただ僕にとっては凱那さんが全てです。
それだけは、覚えていてください。


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「・・・・・・・。」



彼は、きっと病んでる・・・・!!


でも、これだけ希彩に好かれる理由がわからない。
希彩にとって私は、命の恩人みたいな扱いだけど、正直私は初対面だと思う。

全く、身に覚えがないのだ。


希彩みたいなイケメンなら一度見たら忘れないと思うんだけど・・・・。

いきすぎてるけど、彼は私のタイプそのものだ。

格好良くて、真面目で、優しい。


常々緋美に言っていた理想の彼氏像。


「・・・・・でも、まだ恋愛感情はない。」



恋の境界線って、どこだろう。


「・・・・・・難しい・・・・」