「やだ超かっこいい!凱那、何でこんなかっこいい彼氏って言ってくんなかったの?」
「え、えっと・・・あの・・・。」
返答に詰まる私に対して、希彩はこう言うことに慣れているのかいつもより冷静だ。
そこはやっぱり大人だし、一応社会の礼儀とかを知ってるからだろうか。
にこやかに笑みを絶やさず、緋美の言葉を流している。
「身に余る言葉、大変恐縮です。凱那さん、お友達の方も一緒に居ることですし、今日は車で送りますよ?」
そう言って、希彩は車のドアを開ける。
「・・・・・や、車はいい・・・・」
「すっごい広いし綺麗!蓼科さん、良いんですか?」
「はい。家までお送りします。」
「やった!」
―――――完全に、二人のペースにのせられている・・・・・!!!
断ろうと思ったのに、緋美が車に乗ってしまったので、仕方なく私も一緒に乗り込む。
うわ・・・・何これ外車?
初めて希彩の車に乗ったが、中は広くて高級車な感じがしていた。
すべすべでフワフワなシートの感触が気持ち良い。
車内は、希彩がいつも香らせている、爽やかでレモンのような匂いに包まれていた。
「ドアを閉めますね。挟まないよう気をつけてください。」
希彩は私達の席の扉をゆっくり閉め、運転席に座った。
その時の動作がかなり大人っぽくて、つい凝視してしまう。
「凱那さん・・・?」
その視線に気づいた希彩が、僅かに頬を紅潮させ、気まずそうに私をちらりと見た。
「な・・・何でもないわよ!」
何してんのよ私!
ちょっと格好良かったとか思ってない!