病み系男子


若干パニックになっている私を宥めようと、希彩はおどおどしている。

大の男が何で心底困り果てた顔してんの!



それより



本当にこの人ストーカーだったんだ・・・・・!!!!


私の過去まで知ってるし!怖い!



「え、ちょ、怖がらないって言ったじゃないですかぁ・・・!」


そう言った希彩の声が震えていたので


もしやと


いやそんなまさかと



振り返ってみれば




「ちょ!あんた何で半ベソなの!?」



ありえないありえないありえないありえない!


私よりも三つ上で、成人してる男が


目を赤くして、今にも溢れそうな涙の膜を張ってるなんて・・・・!!!



「と、凱那さん・・・・嫌わないでくださぁい・・・!」


「き、嫌う、嫌わないの問題じゃなくて・・・!」


うう・・・・

ど、どうしたら良いの!?


「わ、わわ分かった、分かったから!とにかく泣き止んで!」

「グス・・・・嫌っちゃいましたか?」


なんて、私より大人な筈のこいつが涙目で子犬みたいにオズオズと聞いてくるから


つい



「はいはい、嫌ってない嫌ってない。大丈夫だから・・・。」


と言ってしまった。


「本当ですか!?」


「あ・・・・」


さっきまでのしおらしい顔は何処へ


希彩の表情がぱあっと明るくなり、涙目は活き活きと輝いていた。


あ、・・・・こ、こいつ・・・・!!!


嵌められた――――!!!!



「良かったぁ!やっぱり凱那さんは寛大で優しく純粋な方です!」


まるで尻尾を振っているように、嬉々とした顔で私の前に両手を広げてくる。


言質を取られました――――――・・・・・・。