十五の石の物語

「兄?…えらく似てねぇな…」

男は怪訝な顔をして私とサリーの顔を交互に見比べる。



「…そうなのだ…
私とこの娘は兄妹なのだが………
そう…!事情があり、母親が違い、ごく最近まではその存在すら知らず別れて育っていたのだ。」

咄嗟の嘘をまたさらに嘘で塗り固める。
しかも、へたくそな嘘で…
そもそも、なぜそんな嘘をつく必要があるのか…
私はその理由が自分でもよくわからなかった。



「そう、そう!
あたしは教養のないろくでなしの母親の子で貧民窟で育ち、このお兄様はお育ちの良い賢いお母様のお子様で、ご立派な御屋敷でお育ちになったのさ。
だから、全然似てないんだよ!」

サリーの険を含んだ言葉に不快なものを感じながら、今度は私がサリーの顔をじっとみつめた。



「…どういう事情があるのかわからんが…あんたも苦労してるんだな…」

「そうなんだよ。お兄様はいい年をしてても世間知らずのお坊ちゃまだから、あたしがついてないとどんな奴に騙されるかもわからないしね。」

そう言ってサリーが意地悪く笑ったのを私は見逃さなかった。
私はそのまま黙って席を立ち、酒場を後にした。
大人気ない事だが、サリーの一言で私の自尊心は深く傷ついたのだ。