十五の石の物語

私はあまり酒が好きではなかった。
当然、それほど強くもない。
その店には私の好きなワインがなかったので、適当にビールを頼んだ。
サリーは久しぶりに飲めると上機嫌でウィスキーを注文した。



「あくまでも情報を聞き込むためなのだからな。飲み過ぎてはいけないぞ。」

「何言ってんのさ!
私は子供の頃から飲んでるんだから、多少の酒じゃ酔わないってば!」

私が男達に話しかけるきっかけを探りながら、ちびりちびりと飲むのに比べ、サリーはまさに浴びるような勢いで酒を飲み干す。
そのうち、隣の男がそんなサリーの飲みっぷりに、親しげに声をかけてきた。



「姉さん、イケる口だねぇ!俺にも一杯おごらせてくれよ!」

「ありがとう〜!嬉しいよ!」

男がサリーのために注文した酒が運ばれてくると、二人は乾杯!とグラスをあわせ、それだけで盛り上がる。
私は話に入るきっかけを考えながら二人の話に耳を傾けていたのだが、そのきっかけがうまく掴めない。
サリーと男の話もくだらない話ばかりで、なかなか核心には辿り着かない。

サリーは目的を忘れてしまったのか…?
こんなことなら、別に酒場じゃなくても良かったのではないか?
もしかしたら、サリーはただ、酒が飲みたくてうまいことを言って酒場に来たのではないか?
私がそんなもの想いにふけっていると、不意に男の声が耳に届いた。



「……あんたらは良いよなぁ…もう結婚してんのかい?」

「え〜っ!結婚〜??
あたし達が?」

サリーはその言葉にケラケラと声を上げて笑った。



「間違えてもらっては困る。
私はこの娘の………兄だ。」

私は咄嗟にそんな嘘を口走った。
サリーは笑うのをやめ、驚いたような顔で私をみつめる。