十五の石の物語





「……サリーさん…
私は今から西の森にネリーさんを連れていってきます。
レヴさんのことをどうぞよろしくお願いします。」

「……ヴェール…大丈夫かい?」

ヴェールはサリーに向かって力なく微笑み、小さく頷く。
そして、まだ夜が明けきらないうちに、ネリーを荷車に乗せ西の森へ旅立った。
それほど重くもない荷車に載っているのは、ヴェールにとっては、この世でただ一人の血を分けた肉親……
ほんの束の間の再会だった。
だが、たとえどれほど短い間でも会えて良かったと、ヴェールは思った。
ネリーに会えたことで、自分の中には彼女の血と不思議な力が脈々と受け継がれている……
そのことを強く実感出来るようになったのだから……

(……私はひとりぼっちなんかじゃない。)







夜が明けた頃から、レヴの熱が徐々に下がり始め、苦しそうな息遣いが静かな寝息に変わっていった。



(……レヴ…良かったね…
あんた、助かったんだよ。
ネリーのおかげで助かったんだよ……)

サリーは溢れ出るそっと涙を拭った。



「おはようございます、サリーさん。」

「……あ…ジネット!
レヴの熱がやっと下がったんだよ。
もう大丈夫さ。」

「まぁ……!!
……本当に良かった…
レヴさんの身になにかあったらどうしようかと、私……」

ジネットは一目でレヴの容態が回復してきていることに気付き、安堵感に瞳を潤ませた。



「すまなかったね…
長い間、あんたには面倒をかけて、心細い思いもさせてしまったね。」

「いえ…そんなこと……
……でも、レヴさんが良くなられて本当に良かったですわ。
ところで……ヴェールさんとあのお医者様は?」

「……あぁ…
ヴェールは…ヴェールは、お医者様を町まで送って行ったんだ。
ちょっと遠い町だから、しばらくかかると思うけど……」

「一晩で治してしまわれるとは、たいした名医様なのですね…!
遠くまで探しに行かれた甲斐がありましたね。」

「そうさ……
あんな、名医、他にはいないよ……」

「サリーさん…?」

涙を流すサリーを訝しく思いながらも、ジネットはとても落ち着いた気分を感じていた。



(……本当に良かった!
もうこれで大丈夫なのね…!)