十五の石の物語

「……この石には……残酷で悲しい過去がぎっしりと刻まれていました…
それだけではありません。
その過去の出来事を発端にこの石は多くの人々に復讐を始めました…」

「ふ、復讐……ですか?」

穏やかでないその言葉に、ヴェールの心は動揺する。



「……そうです…
レヴさんの前にももう何人もの人が犠牲になっています……」

「そ、そんな……では、レヴさんも何か復讐されるようなことをされたと…?」

「それが……彼の場合は少し違うのです。
彼は石の哀しい復讐を止めるために選ばれた人だったのです……」

「復讐を……止める…?!」

ネリーの口から次々と明かされる言葉に、ヴェールはますます混乱を深めた。



「そうです。
この石も本当はこんなことはしたくはないのです。
しかし、この石にこめられた持ち主の強い想いにより、いつの間にか魔石となってしまったのです…
この石は怒りと同様に、大変深い悲しみに包まれています。
早くこの役目から解放されたいと願っています。
……レヴさんは、そのために仕わされた人だったのです…」

「……そんな…
では、レヴさんは、あのまま……」

「……心配しないで……
レヴさんは私が必ず助けます…!
今からまた石と対話してみますから、あなたは隣の部屋で待っていて……」

「だいぶお疲れのようですが、大丈夫なのですか?」

「私なら大丈夫です。心配しないで……」

小さな声だったが、きっぱりとした口調でネリーにそう言われ、ヴェールは仕方なく部屋を出た。



「ヴェール、ネリーは大丈夫かい?」

「え、ええ……なんとか…」

「レヴは相変わらずなんだよ…
熱が全然下がらない…
ねぇ、ヴェール…大丈夫だよね?
レヴは助かるよね?」

「……助かりますとも。
今、ネリーさんが頑張って下さってますから…」



相変わらず苦しそうなレヴを目の前にしながら、隣の部屋のネリーのことも気にかかり、二人の張り詰めた心は休まることのないままに、それから、しばらくの時が流れた。

突如響いたただならぬ様子のネリーの叫び声に、ヴェールはあわてて隣の部屋へ駆け込んだ。



「ネリーさん…!!」

ネリーは、もう椅子に座っていることさえ苦しそうに、大きく肩で息をしていた。



「ヴェール……もう大丈夫です。
石はやっと納得してくれました。
今後はもう誰も犠牲になる人はありません。
この石はもうじき消え去ります…
しかし…この件に関わりを持つ石はこれだけではなかったようです…」

「これ以外にも魔石があるのですか…!?」