十五の石の物語

「……あ…あぁ……」

それを見たサリーはほっとしてその場にがっくりと膝を着く。



「……これで……これでもう大丈夫なんだね……
レヴは助かったんだね……」

サリーは潤んだ瞳でネリーをみつめた。
ネリーはそれに対して小さく頭を振る。



「いいえ、まだ安心は出来ません。
この石はレヴさんの手を離れたに過ぎないのです。」

「そんな……!」

「私は、今からこの石と心を通じさせてみます。
どうか、私が良いというまでは決して中へは入って来ないで下さい。」

そう言うと、ネリーは指輪を持って、一人、隣の部屋に閉じ籠る。



ネリーの言葉通り、指輪がはずれても、レヴの様子は先程と変わらず苦しそうなままで意識も戻らない。



「レヴ、しっかりするんだよ!
ネリーが必ずあんたを助けてくれるから、頑張るんだよ!」

「レヴさん、しっかり!!」

意識の戻らないレヴの手を握り締め、サリーとヴェールは懸命に語りかけた。
レヴが違う世界に行ってしまうのを引き止めるように……



隣の部屋からは時折低いうなり声のようなものが聞こえる。
気にはなりながらも、ネリーの言いつけを守り二人はネリーが部屋から出て来るのをじっと待った。

しばらくすると、隣の部屋から何かが倒れるような大きな音が聞こえた。



「ヴェール…今の音……」

ヴェールは立ち上がり、扉の前からネリーに声をかける。



「ネリーさん…今、大きな音がしたようですが大丈夫ですか?」

部屋の中から返事はなかった。



「ネリーさん…?」

「……ヴェール……返事がないけど、ネリーは大丈夫かな?」

返事がないのを訝しく感じ、ヴェールが部屋に入ってみると、椅子の傍らにネリーが倒れていた。



「ネリーさん!ネリーさん!」

ヴェールがネリーを抱き抱えると、ネリーはうっすらと瞳を開けたがまたすぐにその瞳は閉じられた。



「サリーさん!水を!」

唇からわずかずつ水を注ぎ込むと、ネリーはようやく意識を取り戻した。



「……ありがとう…もう大丈夫です。
この石のことは、だいたいわかりました……」

小さな声でそう言ったネリーの顔は、ほんの少しの間にまるで別人のようにやつれていた。