十五の石の物語

「……レヴを助けることは、もう誰にも出来ないのかな…」

「残念ながら、それは私にはわかりません。
しかし、森の民の中であのような力を持っていたのはマイユ様だけだったのです。」

「森の民は、他の場所にはいないの?」

「いません。
すべての森の民はここにいるのです。
外の世界にいるのは私の娘だけなのです。」

その話を聞いた時、ヴェールとサリーの頭にある人物の顔が浮かんだ。



「ディサさん!
実は、私達は外の世界で森の民に出会ったことがあるのです!」

「私の娘に出会ったとおっしゃるのですか…?」

「いえ、その方は、記憶をなくしていらっしゃるようでした。
人間の夫婦に助けられ、やがてその方々も亡くなられたそうで、その方はお一人で森の中で暮らしていらっしゃいました。
でも、私にはその方はあなたより年上のように見えたのですが…」

「まさか、あの子の身に何かが…
その人はどんな人でしたか?」

「どんなって…
あなたと同じように緑色の長い髪で緑色の肌で、とっても綺麗な人だったよ。
背の高さは私よりちょっと高い。」

「……私の娘はここを出ていく時に、髪を染め、肌を薬草と日焼けで黒くし、人間と変わらぬ身なりで出ていきました。
もし何かがあったとしても、髪や肌の色が急に元通りになるわけはありませんし、長い間人間と暮らしているはずもありません。
しかし、他にここ以外に森の民がいるわけもないのです。
その方は一体……」

ディサもユスカもヨンネも信じられないといった様子で顔を見合わせた。



「実は、ここへ来る前に東の村へも立ち寄ったのですが、東の村の屋敷にその方の肖像画があったのです…」

その話を聞いた三人の顔は一気に青ざめ、にわかに呼吸が荒くなる。

三人はひそひそと話を始め、しばらくすると話がまとまったのか、ユスカがヴェール達の方に向き直り、「私をその方の所へ連れていって下さい」と申し出た。



「でも、ユスカさん、あなたの姿では…」

「大丈夫です。今夜、髪と肌を目立たない程度に変えますから。」

「……今夜って…まさか明日出発するというのですか?」

「そうです。明日の朝、すぐに発ちましょう!
そこまではどのくらいでいけますか?」

「え…あぁ…そうですね。急げば二週間程でいけるかもしれません。」

ヴェール達には三人が何を考えているのか、皆目わからなかった。