十五の石の物語

「全く知りませんでした。
あ……もしかしたら、どの村にも採掘場がいつも対のような形であったのはこのためだったのですか?」

「その通りです。
キャストライトとスタウロライトはいつもすぐ近くで採れるのです。」

「そうか~!それで、どこの村にも採掘場が二つずつあったんだね。」

サリーとヴェールは顔を合わせて頷いた。



「ヴェール様、これがスタウロライトです。」

ユスカが首に下げていた小さな革袋から、自分の護り石を出して見せた。



「これがスタウロライト…
なんと、神秘的な……」

「十字の形が浮き上がってるよ!
すごい石だね!」

「…イルヤナ様はいつの日かあなたにそれを手渡そうと大切に持っておられたのですが、それが叶う前に旅立たれ…
本来ならば、イルヤナ様の側近であった私の夫があなたにそれをお渡しするはずだったのですが彼もまた亡くなってしまいました。
夫とイルヤナ様は子供の頃からの親友でしたから……
それで、娘が夫の代わりにあなたをお探しする使命を担うこととなったのです。」

「……そうだったのですか。」

「娘さん、可哀想だね…
今頃、どこにいるんだろうね。」

「娘のことよりも、ヴェール様のお護り石のことが大切です。
ですから、いずれ娘も必ず探し出しますが、それよりも今はレヴさんのことが問題なのではありませんか?」

「何か良いお考えはあるでしょうか?」

ディサは何かを考えるようにじっと俯き、そして小さな声で囁いた。



「……こんな時、マイユ様がいらっしゃったら…」

「マイユ様?
それはどなたなのです?」

「マイユ様はあなたのお祖母様にあたる方です。
マイユ様は石と通じるお力がとてもお強かった…
あの方が生きていらっしゃったら、きっとレヴさんの魔石の力を封じることが出来たと思うのですが…」

「他には?
他にはそういう力を持ってる人はいないの?」

「残念ながら、他の者は、護り石が誰のものかわかる程度の力しか持ってはいません。」

「そんな…
それじゃあ、レヴは……」



「十字架」が示していたものはやはりここのことだったのかもしれない…二人がそう思った矢先、レヴを助けられる唯一の人物と思われるマイユがもうこの世にはいないとわかった。



(……それは、レヴさんの助かる方法はないということなのか…)