ザリッ…



(……なんだ、これは?)


私は足元に黒いガラスのような細かな欠片が散らばっていることに気付いた。



(さっきは気付かなかったが、なぜこんなものが…?)

不思議には思うものの、その理由は皆目わからない。
私は気分を変えようと窓の外の風景に目を遣った。
窓からはまるで一枚の絵画のような美しい風景が見える。
この場所からの風景は私の一番のお気に入りだ。
しばらく、その静かな水面を眺めていた私はあることを思い出した。



(……そうだ、今日は市場の日だ…
特に欲しいものはないが……でかけてみるか。)

肌寒い風を受けながら、私は市場への道を歩き始めた。



***

運命の歯車は再び動き始めた。

今度もまた以前と同じように進むのか…

あるいは、違う動きを見せるのか…



それは、まだ誰にもわからない…



15.黒曜石…fin