十五の石の物語





やがて次の日の朝が来た。
私が目を覚ますと、そこにサリーの姿はなかった。
こんな朝早くから一体どこへ行ったのだろうかと考え、身体を起こそうとした時、私は激しいめまいに襲われた。
あたりがぐるぐると回り、動悸もする。
バランスを崩しそうになる所を、咄嗟に腕を着き、私は息を整える。



(こんなことは初めてだ。
体調が良くないだけなのか…
…それとも…)

不安な気持ちを押さえながら、その場でじっとしているとめまいは徐々におさまった。



(……きっと体調が良くないだけなのだ…
あるいは神経が高ぶっているからなのだろう…そうに違いない。)

私は自分にそう言い聞かせると、ゆっくりと上体を起こす。
今度はなんともなかったことに、私は胸を撫で下ろした。



「あ、レヴさん、おはようございます。」

「おはよう、ヴェール。
……サリーがいないのだが…」

「サリーさんが?」

私達があたりを見渡していると、遠くからサリーが手を振りながら走って来るのが目に映った。



「見て~!」

息を切らせながらサリーが差し出したものは不思議な石だった。
石の表面に放射状の模様が、まるで花火のように刻まれた石だ。



「これって絶対『星の石』だよね!」

「言われてみれば、確かに星のように見えますね。」

「見えますね…じゃなくて、絶対そうだよ!
ほら、こんなにキラキラしてるしさ!」

サリーは石を朝日に向けて差し上げ、キラキラ輝く石を誇らしげに見つめていた。



「絶対にこれが星の石さ。
間違いないさ。」

サリーはそう言って満足げな顔で頷く。