十五の石の物語

「では、そろそろ行こうか…」

私はもうドレスのことは気にしないことにした。

ヴェールの予想通り、そこから先はそれほど険しい道ではなく、酒場で聞き込んだ場所へは日暮れ前に着くことが出来た。



「多分、このあたりだと思います。」

岩肌を掘られた跡がそこら中にたくさんあった。



「おそらく、間違いないだろう。
このあたりを中心に探せば光の途がみつかるはずだ。」

「星の石、本当にないのかな?」

「これだけ堀り尽されてみつからなかったのだ。
やはり、でまかせだったのだろうな…」

「どこかに欠片が落ちてるかもしれないよ…」

そういうとサリーは、立掛けてあった錆びたスコップを持って、そのあたりをうろうろし始めた。

私とヴェールは暗くなる前に……と薪を探す。



やがて日が落ち、空には丸く美しい月が現れた。

「満月は明日あたりでしょうか?」

「そうだな。あとほんの少し…といったところだから、明日あたりかもしれないな。」

「あの……レヴさん、ドレスのことですが…」

「あぁ…もう気にしないでくれ。
私も忘れることにする…」

「サリーさんはきっと…」

「……もう良いのだ、ヴェール…
気遣ってくれてありがとう…」

「レヴさん……」

ヴェールは、まるで自分のことのように気落ちした顔をしていた。
全くつまらないことをしたものだと、私は小さな溜め息を吐いた。