酒場は、すでに大勢の酔っぱらい達で異常な程に盛り上がっていた。



「ねぇねぇ!
この町はなんで星の町って呼ばれてるのさ?」

店に着いて早々、サリーが一人の男に声をかけた。



「あぁ…それはな、ずいぶん昔の話だが、この近くに星の形をした石が採れるって噂が出てな。
その星の石をみつけたものは願いが叶うとか、幸せになるとか言って人がたくさん集まって来たんだが、結局、そんなものはみつからなかった。
誰かのでまかせが一人歩きしちまったんだろうな。
今じゃ、そんな石を探しに来る奴もいなくなったが、そんなわけで『星の町』って名前だけが残っちまったってわけさ。」

「なぁ~んだ……でまかせなのか。
何か面白いもんでもあるんじゃないかって期待して損したよ。」

「しかし、伝説には元になる何かがあるものですが……」

「いやぁ、それはただのでまかせさね。
……あぁ、そういえば天から続く星の道を見たなんてことを言う奴もいたぜ。
次の日、みんなで探しにいったが、そんなものはなかったらしいがな。
きっと酔っぱらって幻でも見たんだろうな。
伝説なんてもんは、たいていそんなことから大袈裟に広まっていくもんだからな。」

サリーと私はその話に息を飲んで顔を見合わせた。