サリーにからかわれたことを気にも留めず、私は話を続けた。



「私達は、採掘場の方に行って来ますから、その間、ジネットさんはその町で待っていて下さいね。」

「あの……
私もご一緒してはいけませんか…?」

「それは……」

一瞬にして、その場になんともいえない空気が流れた。



「す、すみません。
また勝手なことを言ってしまって……
私はその間に自分のなすべきことをしますわ。
本当にすみません。」

「いえ……」



ジネットは酷く落胆した様子だった。
気の毒には感じたが、やはりそれだけは出来ない。
森の民のことをジネットに明かすにはまだ早い。

しかし、彼女はなぜ、こんなにも私達についてきたがるのか?
そのことが私の心にひっかかった。







それからさらに二日…
私達はのんびりとこの町での時を過ごした。
そしてついに隣の町「星の町」へ旅立つ日がやってきた。
満月の時が近付いてきたのだ。



私は、ある用を済ませに、出発前に町に出掛け、急いで三人の元に戻った。



「待たせたな……では行こうか?」

「どこ行ってたのさ!」

「あぁ……ちょっと忘れ物があっな。」

「ちゃんと忘れないようにメモでもしときなよ。
あんた、本当に抜けてるんだから。」

「わかった、わかった。」


星の町へはさほど遠くないとのことだった。
夜になる前に着けるらしい。
その晩は星の町に泊まり、次の朝からでかければ満月の夜に森の民達の東の村の近くに出るはずだと私達は考え、そこで光の途を探すことに決まった。

たとえ、東の村がみつかったとしても、そこに彼らがいるという確証はない。
しかし、確率は三分の一……
それは決して低い数字ではない。



(どうか東の村に彼らがいますように…!)



***

今までよりもずっと深く願いを込めて、レヴは歩き出した…
何事か起こる前に、なんとしても彼らをみつけだしたいという悲痛な想いを心に秘めて……



13.薔薇輝石…fin