十五の石の物語

ジネットの脳裏に、暗き森の案内人のことが思い浮かんだ。



(……あの方もまた、闇の世界から光の世界へ飛び出されたのかしら?
それともまだ光をみつけられず、闇の世界をさ迷っていらっしゃるのかしら…?)



「ジネットさん…?」

「あ…すみません。
ちょっと考え事を…」

「……例の方のことですね…」

「……え、ええ……」

ジネットは小さく頷く。



「あなたのような素敵な人にこれほど想われるなんて、その方はとても幸せな方ですね…」

「いいえ…私なんて……」

「お二人のお幸せを祈ってますよ。
私にご協力出来ることがあれば、なんでもおっしゃって下さいね。」

「……ありがとうございます。ヴェールさん…」

それは、ジネットには辛い言葉だった。
本当はヴェールにひかれているのに、その想いを打ち明けることも出来ず、ジネットは胸を痛めた。
ヴェールもヴェールで、ジネットにひかれつつも、ジネットには決まった人がいるのだと、その想いを完全に諦めていた。
二人の気持ちが悲しくすれ違う中、いつの間にかあたりは薄暗くなっていた。



「そろそろ戻りましょうか…
ジネットさん…見て下さい。
とても美しい夕焼けですね。」

「……本当に…」



二人は並んで、赤く染まった空をみつめた。







その晩もレヴは食欲がないということで、夕食も採らずに部屋にひきこもっていた。



「レヴさん、ご加減でも悪いのでしょうか?
心配ですわ。
それに、サリーさんは今日はこちらへは戻られないんでしょうか?」

「サリーさんなら大丈夫です。
おそらく数日経てば元気に帰って来られますから。
レヴさんも少し休めば大丈夫だと思いますよ。
どうか安心して休んで下さい。」

「そうですか。わかりました。
では、休ませていただきますわ。
おやすみなさい。」

「おやすみなさい。」



ヴェールはレヴの部屋を訪ねてみようかと考えたが、サリーの報告を待ってからの方が良いかもしれないと考え、その晩は声をかけずに休むことにした。