十五の石の物語

「どうする?
これからすぐに発つかい?」

「ジェムストーンさん…いえ、たしかアベルさんでしたよね?」

「よく知ってるな。おふくろに聞いたのか?」

レヴは静かに頷く。



「それだけではありません。
アベルさん……フィリップさんを覚えてらっしゃいますか?」

「フィリップって……まさか、子供の頃仲が良かったあのフィリップのことじゃないだろうな。」

「その通りです。
実は、私達はフィリップさんともお会いしまして……」

レヴは、フィリップとの出会いや、ダイオプサイトをみつけたことを話して聞かせた。



「な、なんだって、あの石がみつかったのか!?」

アベルは目を丸くして、レヴの話に聞き入った。



「ええ、フィリップさん、あなたにとても会いたがっておられました。
お店のことをお伝えしときましたから、きっとすぐに会えますよ。」

「なんてこった。
今頃になってフィリップに会えるなんて……懐かしいなぁ…
それに、あんなことであいつがずっと悩んでたなんて……俺、考えたこともなかったよ、全く悪いことをしちまったな。」

「フィリップさんは、きっと、今頃、あなたのお母上と会われて、すっきりしたお気持ちであの石を持たれてると思いますよ。」

「だと良いが……
それにしても、あんた達のおかげで、いっぺんにいろんな事が解決されてたんだな。
本当にありがとう。」

アベルは感激したように私の両手を握り締めた。



「いえ、私達は何も……
ところで、アベルさんはこれからどうされるおつもりですか?」

「そうだな。少しだけ荷物の整理をして…明日の朝にでも早速発つことにするさ。
なんだか無性におふくろに会いたくなっちまったからな。」

「そうですか…それは良かった。
では、私達もそうします。
私達が一緒なら、荷物も少しは持ってさしあげられます。」

「そいつはありがたい!
この山道だ。持っていけるものはほんの僅かだと思って諦めてたんだ。」