十五の石の物語

「……ごめんよ…」

サリーが大粒の涙を流して謝っているのを見て、私は酷く驚いた。



(なぜだ?
たかが占いがうまくいかなかっただけのことではないか…
なぜ、この娘はそんなことで、こんなにも哀しい顔をしている?)

私にはどうにもその理由がわからず困惑した。



「サリー、おまえさんのせいではなかろう。」

ピェールがサリーの背中に手をまわし、優しく言葉をかけた。
私にも、もちろん、彼女を責めよう等という気持ちはさらさらなかった。



「その通りだ。
別に私は……」

「ゆ、指輪が…!」

ピェールが私の指輪をみつめ、息を飲むように口許を押さえた。
私が指輪に目を移すと、あの碧きアマゾナイトが灰のような色に変わっていた。
まるで死人の顔のような血の気を失った灰色に……



(突然どうしたというのだ…?!)



指輪は指から離したこともなければ、占いの後、サリーやピェールが触れたこともない。
もちろん、水に濡れたとかなんらかの外的衝撃もない。



……私は、背筋が寒くなるのを感じた。
そして、サリーの言ったことがただのでたらめではないことを確信した。

根拠はない…
ただ、私の第六感のようなものがそう告げるのだった。
私達は、なす術もなく指輪をただじっとみつめる…