「きっとあれが教えてもらった町だね!」

「そのようだな。ずいぶんと大きな町のようだな。」

夕方近くになり、私達は、ようやく前日サリーが聞き込んで来た町に着いた。
数多くの商店が立ち並び、人々が忙しなく行き来している。
四人は通りから一本奥に入った落ち着いた雰囲気のカフェに入り、少し遅い昼食を摂った。



「では、ジネットさん…私達は鉱山の方に行って来ますので、通り沿いのホテルで落ち合うことにしましょう。
鉱山のだいたいの場所は聞いてありますが、かなり奥まった場所だそうですから三〜四日はかかるかもしれません。
退屈かもしれませんが、幸いこの街にはいろんなものがある。
気晴らしをしながら待っていて下さい。」

「わかりましたわ。どうぞお気を付けて。
ところでそこはそんなにわかり辛い場所なのですか?」

「ええ、簡単な地図もあるのですが……」

ジネットはヴェールが差し出した地図をのぞきこんだ。



「これはずいぶんかかりそうですわね。」

「ジネットは地図がわかるんだね。
あたしもレヴも地図を見てもどっちが北だか南だか、まるでちんぷんかんぷんだよ。」

「私は方角位はわかる。」

私は憤慨し抗議した。
方向感覚があまり良くないことは自覚していたため、こういうことを言われると妙に苛々としてしまう。



「あれ?そうだっけ?
でも、いつもヴェールに任せてるじゃん。」

「それは、ヴェールの方が方向感覚が優れてるからだ。」

「私は森で育ちましたから。」

「えっ!ヴェールさんは森の中に住まれたんですか?」

「あ…
その…近くに森があって、幼い頃からそこでよく遊んでいたということなのです。」

「……そうですか…」

ヴェールがうまく言い繕えたことに、私はほっと安堵した。



やがて、私達はカフェを出てジネットとは別れ、私達三人はそのまま鉱山を目指した。