十五の石の物語

「おぉ~っ!これはまた綺麗な石じゃのう!」

フランツは、手にした石を長め、にこやかな笑みを浮かべた。



「そうだろ?
太陽に当てると光るんだよ。
『蛍石』って言うんだってさ。
蛍なのに太陽に反応するなんて、なんかおかしいよね。」

「あの…レヴさんは地質学の学者様なのですか?」

ジネットがおずおずと私への質問を口にした。



「え?!あ…あ…それはですね…」

まさかそんなことを訊かれるとは思っていなかったため、私はしどろもどろになり、何と答えるかを考え酷く焦ってしまった。



「そうなんだよ。
こう見えてもこのお兄さんは学者様なんだよ。
しかも、あたしとは腹違いの兄妹でね。
それだけじゃないよ。
ヴェールもわけありの兄弟なのさ。」

サリーが、適当なことを答えてくれたので、私は曖昧な笑みを浮かべて誤魔化した。
漠然と、伝承の研究をしている学者だ等と考えていたが、石ばかり探していると、地質学と思われても当然だ。



「そうだったのですか!
そういえば、レヴさんとヴェールさんはどことなく似てらっしゃる……」

「どうせ、あたしだけ似てないけどね。」

「いえ、そういうわけでは…」

ジネットはあわてて頭を振ったが、サリーの機嫌はそう簡単には直らなかった。



「良いんだよ。兄弟も三人もいれば、一人位変なのが生まれるんだよ、ねぇ、義兄さん!」

サリーのあからさまな皮肉のおかげで、その場の雰囲気はすっかり悪いものに変わった。
相変わらず感情的な彼女に、私は思わず溜め息を漏らしてしまった。