十五の石の物語

「…大変なこと…?
一体、何が起こっているというのだ?」

「……それは…」

サリーは口ごもり、それ以上答えなかった。



「どんなことでも構わない。
はっきりと言ってくれ!」
私の剣幕に押されたのか、サリーはおずおずと口を開いた。



「……それが……あたしにもはっきりとはわからないんだよ。
いつもなら、カードがすべてを教えてくれる……だけど、何かとてつもなく危険なことが起きているということははっきりと感じるんだけど……それがどんなことなのかっていう細かなものは、まるで黒い靄でもかかってるみたいに見えなくなって、カードの言ってることが読み取れないんだよ。
……あたしもこんな事は初めてで、全くわけがわからないんだよ……」



(…なにもわからないだと…?)

私は、思わず皮肉な笑みを浮かべていた。



(やはり、こんな小娘にわかるわけはないのだ。
タロットには一枚のカードごとに意味があるはず。
それを見てもわからないなんて、きっと余程の素人だ。
そもそも占いなんぞで、何がわかるというのか…)

確かに、先程の異様な雰囲気を少しいぶかしくは感じていたが、それはおそらく気のせいだったのだろう。
全くつまらないことに時間を費やしてしまったものだと、私は小さなため息を漏らした。