十五の石の物語





「灯りが見える!きっとあそこじゃ」

フランツとジネットは舟を降り、ふもとの町へたどり着いた。



「すまんがこのあたりに泊まれる所はなかろうか?」

フランツは通りすがりの男に声をかけた。



「この町にはあいにくと宿はない。夜明かしするなら、バーしかないぜ。」

「仕方がないのう…じゃあ、ジネットさん、そこへ行ってみるか。」

「フランツさん、あとはもう私一人で大丈夫ですから……」

「何を言うか。
あんたみたいな若くて美しい娘さんを一人きりになんて出来るもんかね。
何かあったら、あんたの大切な人に合わせる顔がない。
ヴェールさん達に会えるまで、わしはついていくからな。」

「フランツさん……」

フランツは店に入るとジネットを隅っこのテーブルに座らせ、一人で店の客達に話を聞きにまわった。
不安な気持ちでジネットが待っていると、程なくしてフランツが戻ってきた。



「わかったぞ!
ヴェールさん達は昨夜ここにきたらしい。
良かったのう。
舟で来て正解じゃったな!
これでもう大丈夫じゃ!」

「本当ですか!?
それでヴェールさん達は今どこへ?」

「なんでも山の向こう側に光る石を探しに行ったらしい。」

「光る石を…?
レヴさんは地質学の学者さんなんでしょうか?」

「さぁ、わしにはわからんが、きっと大切な研究なんじゃろう…
寝る所もないが、出来るだけゆっくりしとくんじゃぞ。
明日は早くから出掛けるからのう。」

「はい。フランツさん、どうもありがとうございました。」

感謝の言葉を口にするジネットに、フランツは穏やかな笑みを返した。