十五の石の物語

次の日、朝早くから私達は蛍石の採掘場を目指し、山を登り始めた。



「ねぇ、でもさ…もし、それが光の途だったとしても、満月まで待たないといけないんだよね。
多分、次の満月までは一ヶ月近くあるよね、長いなぁ…」

「残念だが、そういうことになるな。
今までずっとあわただしくしていたのだ。
しばらくゆっくりするのも良いではないか。」

「まぁ、そうだけどさぁ…
長いから退屈しそうだよ。
第一、麓の町には宿もないんだよ。
採掘場の近くに宿舎はあるって言ってたけど、そんな所、泊めてもらえないだろうしさ…」

サリーは、どこか不貞腐れたような顔をして、足元の石ころを蹴飛ばした。



「それじゃあ、ネリーさんの家にでもまた遊びに行きますか?
あそこなら泊めていただけると思いますし……」

「そりゃ、ヴェール、あんた一人で行った方が良いんじゃないのかい。
あたしは邪魔者になるのはいやだよ。」

「なぜ、サリーさんが邪魔者になるんですか?」

「もう~っ!
ヴェールったら、とぼけたこと言ってるよ!」

それほど険しい山でもなく、三人は他愛のない話をしながら歩いているうちにいつの間にか目的の場所に着いていた。



「暗くなる前に着いて良かったね。」

「そうだな。しかし、今日はもう歩き回るのはやめておこう。
このあたりにどこかゆっくり出来る所があれば良いのだが…」

私はそう言って、あたりの景色を見渡した。