「どんどん木が多くなってきたね。」

フランツの家を出てから、歩を進めるごとに森は深くなっていく。
奥へ踏み入るごとに、たわわに実った果物や木の実のなる木が増え、泉もあれば小さな川も流れている。
人に出会うこともなく、たまにりすやねずみのような小動物をみかけるくらいだった。



「あたしが森の民だったら、絶対こういう所に住むね!
いや、森の民じゃなくてもこういう場所に住めたら良いね。
静かすぎるから、まぁ、たまには町が恋しくなるだろうけどね。」

「本当に良い所だな。
南の森の雰囲気にもよく似ている。
しかし、ここには鉱山があるのだろうか?」

「鉱山?」

サリーはきょとんとした顔で、問い返す。



「そうだ。
彼等にはキャストライトは必要不可欠なもの。
それがない場所には住まないと思うのだが…」

「レヴさんのおっしゃる通りだと思います。
それ以前に、ここはごく普通に行き来出来るというのが少し違う気がしますよね。」

「あ、そうだったね。
森の民の住む森はいきなりみつかるはずがなかったんだよね。
光の道を進んで、ゆらゆらに入らないと行けないんだもんね。」

「そうだったな。
南の森に行った時に思ったのだが、あの場所は普通の場所とは少し違う……
つまり、現実にある場所とは違う気がしたのだ。
だから、ここでないことは間違いない。」

「そっか~…残念だね。
じゃ、とりあえずはあやしそうな所をみつけて満月の夜まで待って光の途が出て来るかどうか待つしかないんだね。」

「そうだな。
しかし、光の途はふだんは普通の石に見えるのだぞ。
あやしい所というわけではないのが難しい所だな。
しかも、あと数日で満月。
早めに目星をつけないと、また一ヶ月待たねばならないことになるのだ。」

「一ヶ月は長いね…
ここなら食べるものには困らないだろうけどさ。」

「なにか手がかりがみつかれば良いのですが…」