十五の石の物語

「こんな話、信じられないのも無理はないがな。
だが、彼らは本当におるんじゃ。
このわしがその証みたいなもんじゃ。」

「彼らについてどんなことをご存知なのですか?」

「いろんなことを知っておる。
なんせ、わしは二ヶ月程、彼らと一緒に暮らしてたのじゃからな。」

思いがけないフランツの言葉に、今度は演技ではなく本気で衝撃を受けた。



「二ヶ月も彼らと一緒に?!
それはまたどういういきさつからなのですか?」

私はあえて平静を装い、さらに質問を重ねる。



「わしがまだ若い頃の話じゃ……わしはある山に入りこんでしもうてな。
行けども行けども、町なんぞありゃせん。
食べ物もなけりゃあ水もない。
何日か山をさ迷っていた時、運悪くふらふらして崖から落っこちてしまったんじゃ。」

「それで…どうなったのですか?」

「わしは目が覚めた時、あぁ、わしはおっ死んだんだなと思ったんじゃ。
なんせ、わしの周りには今まで見た事もないような者達がおったのじゃからな。」

「もしやそれが…」

フランツは、私の目を見据えゆっくりと頷く。



「そう、森の民だったんじゃ。
彼らは姿こそ普通の人間となんら変わらんのじゃが、とても美しい緑色の長い髪をしておってな。
肌の色も薄い緑色をしておるんじゃ。」

「彼らがあなたを助けてくれたのですね…?」

「その通りじゃ。
崖から落ちて死にかけとったわしをみつけて救ってくれたようじゃ。
その後、わしは順調に回復したのじゃが、彼らは本当に心根の優しい善い奴らでな…
居心地が良くてつい長居をしてしまったんじゃ。」

「そうだったのですか…それで、彼らの村はどこにあるのですか?」

私は一番聞きたかった質問を口にした。