十五の石の物語

次の日の朝から、私達は聞き込みを開始した。
とはいえ、小さな町のことだ。
少し聞いて回っただけで、これといった手掛りがないことがすぐにわかった。
しかし、一つだけ気になる情報があるにはあった。
町外れの奥深い森の中に、このあたりでも有名な老人がいるというのだ。
誰も彼の本当の年齢を知らないが、中には「彼は百歳を超えている」と言う者までおり、高齢であることは間違いないようだ。
伝説というものは、若い者よりも年を取った者の方が知っているということが多いものだ。
その老人が森の民について何か知っているかどうかはわからないが、この先の町に行っても知っている者がいるかどうかわからないのだ。
ならば、ほんの少し寄り道をした所で何の差し障りもない。
むしろ可能性が増えるというものだ。

私達はフランツという老人の家を目指すことにした。



「しかし、レヴも芸が細かいね。」

「何のことだ?」

「さっき、眼鏡かけてただろ。
あれかけるとなおさら学者臭く見えたよ。」

「あぁ、あれか…
あれはジャンがくれたものだ。」

「ジャンが?
レヴ、目が悪かったのかい? 」

「いや、そうではないのだ。
ヴェールの黒眼鏡をもらった時に私にもいらないかと言ってくれたのだが、私は黒眼鏡は必要ないと断ったのだ。
ならば…ということであの眼鏡をくれたのだ。」

「……そうだったのか…
ジャンって目が悪かったのかな?」

「いや、あれはただのガラスだ。
度は入っていない。」

「あの買い物好きは、病気だね……」

「良いではないか。
別に誰かに迷惑をかけているわけではないし、そのお陰でとで私達はいろいろと助かっているのだからな。」

「ま、それはそうなんだけどさ。」

サリーは呆れたような声でそう言った。