私達の新たな旅が始まった。
今回の旅はまさにあてのない旅。
どこへ行くべきかがわからないまま進むのは、旅の始まりの頃と同じだった。



「このあたりって環境は最高だよね!緑が一杯だし、空気もおいしい…!」

「……緑以外にはなんにもありませんね…」

う~んと伸びをして、気持ちよさそうにするサリーに向かって、ヴェールが水を差すような言葉をぽつりと呟いた。



やはり、ヴェールはジネットのことがひっかかっているのだろう。
だから、気が晴れないのだ。

ヴェールが気落ちするのは無理もない話だ。
旅立つ日にさえ、彼女は現れなかったのだから…

ヴェールにとってはあれが初恋のようなものだったのだろう…
初めて抱いた淡い恋心…
もともと諦めていた想いだとはいえ、彼女の態度はあまりにもつれないものだった。
彼は私が思う以上に深く傷付いているのかもしれない。
出来るだけ気遣ってやらなければ……