*
家に帰ると、私は早速マリアに翡翠の話を尋ねた。
「……あの翡翠はね、主人があそこへ置いたものなの。
私達はこの地へ来てしばらくしてあの洞窟をみつけたのよ。
主人はあの場所をえらく気にいって、二人でよく行ったものなんだけど、ある時、彼が翡翠をあの場所に置くと言い出したの。
あの翡翠は昔から彼の家に伝わるもので、そんな大切なものをなぜ?と思ったんだけど、ここは石が生まれた場所によく似てるから翡翠もきっとここを気に入るはずだ…なんて言ってね…おかしな人でしょ?
主人は壁の一部を彫って、そこに翡翠をすっぽりとはめこんだの。
不思議なことに、翡翠はまるで最初からそこにあったようにとても自然な感じがしたわ…」
マリアは昔を思い出しているのか、遠くをみつめ、とても幸せそうな顔でそう話した。
「それにね、翡翠をあの洞窟におさめてからとても不思議な事が起こったのよ。」
「不思議なことが?
一体、何が起こったのですか?」
「湧き水が出てきたの!
それだけじゃないわ。
主人は、それは翡翠が起こした奇跡の水だと信じて毎日その水を飲んでいたのだけど……おかげで長く生きることが出来たわ…」
「……長く…ですか?」
「えぇ、実は主人は生まれた時から身体が弱く、それを心配した彼の両親が異国の人から買ったのがあの翡翠だったのよ。
翡翠は健康と長寿の石でもあるの。
おそらく大人になるまで生きられないだろうと言われていた彼が成人するまで生きられたのは、あの翡翠のおかげだろうと彼も彼の両親も信じていたわ。
そして、私と出会い、結婚し、その後も何十年も生きられた…
それは世間から見れば長い命ではなかったかもしれないけど、彼はあの翡翠のおかげできっと天から授かった寿命よりもずっと長生き出来た…
私はそう信じているの。
私と彼が一緒にいる時間を長くしてくれた…
あの水は、まさに、幸せの水なのよ…」
マリアの瞳には溢れそうな涙がたまっていた。
家に帰ると、私は早速マリアに翡翠の話を尋ねた。
「……あの翡翠はね、主人があそこへ置いたものなの。
私達はこの地へ来てしばらくしてあの洞窟をみつけたのよ。
主人はあの場所をえらく気にいって、二人でよく行ったものなんだけど、ある時、彼が翡翠をあの場所に置くと言い出したの。
あの翡翠は昔から彼の家に伝わるもので、そんな大切なものをなぜ?と思ったんだけど、ここは石が生まれた場所によく似てるから翡翠もきっとここを気に入るはずだ…なんて言ってね…おかしな人でしょ?
主人は壁の一部を彫って、そこに翡翠をすっぽりとはめこんだの。
不思議なことに、翡翠はまるで最初からそこにあったようにとても自然な感じがしたわ…」
マリアは昔を思い出しているのか、遠くをみつめ、とても幸せそうな顔でそう話した。
「それにね、翡翠をあの洞窟におさめてからとても不思議な事が起こったのよ。」
「不思議なことが?
一体、何が起こったのですか?」
「湧き水が出てきたの!
それだけじゃないわ。
主人は、それは翡翠が起こした奇跡の水だと信じて毎日その水を飲んでいたのだけど……おかげで長く生きることが出来たわ…」
「……長く…ですか?」
「えぇ、実は主人は生まれた時から身体が弱く、それを心配した彼の両親が異国の人から買ったのがあの翡翠だったのよ。
翡翠は健康と長寿の石でもあるの。
おそらく大人になるまで生きられないだろうと言われていた彼が成人するまで生きられたのは、あの翡翠のおかげだろうと彼も彼の両親も信じていたわ。
そして、私と出会い、結婚し、その後も何十年も生きられた…
それは世間から見れば長い命ではなかったかもしれないけど、彼はあの翡翠のおかげできっと天から授かった寿命よりもずっと長生き出来た…
私はそう信じているの。
私と彼が一緒にいる時間を長くしてくれた…
あの水は、まさに、幸せの水なのよ…」
マリアの瞳には溢れそうな涙がたまっていた。



