十五の石の物語

そうは言ったものの、まずどちらに進むかを私は決めかねていた。

「サリー、次の行き先は君に任せよう…」

「えっ?!あたしに?なんでさ?」

「理由はないが…」

サリーは少しブツブツと文句を言っていたが、適当に方角を決めた。



「じゃ…こっちで良いよ。」

私達はサリーの決めた方角に歩き出したが、行けども行けども山ばかりで何もなく、私達はもう何日歩き続けていた。



(こんなことなら自分で決めた方が良かったか…)

私は心の中で愚痴をこぼす。



「とにかくこの山を降りましょう。
麓へはそう遠くないはずです。」


ヴェールの持って生まれた方向感覚は疑いようもない。
しかし、まさかこんな険しい山続きだとは考えていなかったため、持っていた食糧もとうに底をつき、たまにみかける木の実等で飢えをしのいでいたが、私達の体力の消耗の度合いはかなり激しくなっていた。
中でもサリーは見た目にもはっきりわかる程、痩せて顔色も悪くなっていた。



「レヴ…あたし…なんだか……」

力ない声に振り返ると、サリーはそのままくずおれた。



「サリー、しっかりしろ!」

抱き起こしたサリーの身体が酷く熱い。



「ヴェール、サリーが酷い熱だ。
どこか水のある所を探そう!」

私がサリーを背中に背負い、ヴェールは水辺を探して先を進む。
しばらく行くと小さな川があった。



「レヴさん、あそこに川が…!」

私はその声に、残り少ない体力を振り絞って足を速めた。
川辺に一人の女性がおり、サリーを背負った私の姿を見ると、女性は私の傍に駆け寄って来た。



「どうなさいました?」

「連れの者が熱を出し、倒れてしまったのです。」

苦しむサリーの様子を見て、女性は「どうぞ、こちらへ」と言うと先に立った。
女性に着いて行くと、川から少し奥まった所に小さな家があるのが見えた。



「まぁ、ジネット!
一体どうしたの!」

家にいた年配の女性は、驚きながらも状況をすぐに見抜いた様子でてきぱきと動き回る。
サリーをベッドに運ぶと、あとは私達でやりますから…と、私達を部屋から追い出した。